旧世界
新世界
どちらも同じものだった
たったひとつ
導かれた末の決別
いかに世界が青いかなど
普遍的な一事実に過ぎなかったが
朦朧とする意識の中で
彼はどう思い
彼女はどう感じたのか
いっそ台無しにしてしまって
また何もかもが定義を持たない
不自由ゆえの自由な空
明るさが固定する貧しさを超えて
一寸の先すら手探りの不安の中
手に触れる黒い輪郭を
なにもかも
黒い妄想に融かし尽くせたなら
ふと考える時がある
にわか雨
風が吹き
いないはずのわたしから
滲み出した慈しみ
思考の動く方向へ
身体が対応できずに振り回され
なすすべもなく吹き飛ばされて
一握りの時空
身を寄せ
信じた世界に掴まって
物理的な座標はそのままに
錆びた怒りも
枯れた憎しみも
穏やかに今へと収束していく
縛られることのない原点
拠り所とする原風景は
今ようやくその感情を放棄して
始まりの夢を思い出す
むき出しの無
精製されるでもなく
作為的な美化でもない
虚無や無限ですらなく
今までにもこれからにも規定されない
新しい喪失感
究極的な美が蝕む音色は
忘却への赦し
その身から落ち還っていく
瞬きの名残