一体化した自然と
肯定し続けたそれは
もはや歴史となっていた
浅い歴史は
浅さ故の透き通った何か
綺麗であるからと
筆舌に尽くしがたくはなく
もとより何かですらなかった
歩んできた道を忘れ
また
もう一度
生まれ変わろうとしている
目覚めを告げるこの光は
脳裏に残った記憶の呼び声
置いてきたはずの全て
捨てて身軽になったはずの肉体に
形のこらずともここにあるのは
確かな傷が思い起こさせる体感覚
いのちを何度繰り返そうとも
跳ね返ってくる地の反動
空の静寂
連鎖する生命の爆ぜる音
当たり前の景色に
当たり前の感触に
当たり前の感情に
当たり前の毎日に
当たり前の連続に
たしかにこれは日常ではあったが
普遍的なものではなく
今まさに崩れ去る時に
掴もうとするのは
はたして何であったのか
色濃く覚えている
噛みしめるほどの思い出に
全身の皮膚
ひとつひとつの細胞の中まで
ひとつの感覚に染まる
この冷たさは
見渡してみても
答えなど無く
だからこそ
何をも選べなくなっているのには
納得しているのだ
はたしてそれは
安心感であったのだろうか
切り取られた空間に
とどまる自分
収まりきらないのは
未来も過去も現在も
やがてたどり着く先は
決まったかたちで収まるように
初めから決まっていたのだろう
疑問や思考を飛び越えて
醸成する時間も必要とせず
脆く崩れ去る
ありとあらゆる
結果と結果の複合体
儚さすら覚えるほどの
今に至る軌跡
足元をかたどる理由も
決断の前に揺らいでいた
忠誠と自我の狭間
逸脱と理解の相乗は
凡庸と超越を祝福する
これは始まりでも
終わりでもない
忘れられることのない
あのときの続き