見失ってしまった今となっては
色濃く思い浮かべるのは難しいけれど
かつての記憶が語り掛けるように
感覚を伴った存在感が
きっとどこかにいて
それはよそ見をしたときに
見えないところから
あえてわかるように
気配だけを残していく
いくつもの感情が蘇るが
氾濫するあまり
詰まり、渦巻き、停滞する
一瞬の激しい懐かしさと嬉しさ
長きにわたる消化できない腐敗物
どこへかなぐり捨てるのか
どこへまた捨てに行くのか
多くを所有できるが
満たされることはなく
博愛の心など持ち合わせず
そうだとしても
無慈悲に、無下に扱うこともできず
いつだって想いの向ける先は
どこにもなく
擦れて薄らいだ喜びを
悲しみや苦しみが何重にも覆い隠す
一番外側には
諦めと無力感が優しく包み
静かに底へ向けて沈んでいく